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お知らせ

遺言書と異なる遺産分割の可否

結論

一定の要件を満たすことで、遺言書と異なる遺産分割を行うことは可能です。

遺言がある場合、原則として法的な拘束力を持ちますが、相続人全員の合意等の条件が整えば、柔軟な分割が認められています。実務上もこのような取り扱いは広く行われています。

変更に必要な3つの要件

  • 遺言者が遺言書内で「分割の変更」を禁止していないこと
  • 相続人および受遺者の全員が合意すること
  • (遺言執行者が選任されている場合)遺言執行者の同意があること

事例解説:特定の相続人への遺贈と放棄

ご相談のケース

「長女に財産の大半を与える」という遺言が見つかったが、長女自身も他のきょうだいもこれに納得していない場合。

法的解釈:特定遺贈の放棄

特定の財産または割合を指定して与える遺言は「特定遺贈」と解されます。受遺者(長女)は、遺言者の死亡後いつでもこの権利を放棄することが可能です。

手続きのポイント:
家庭裁判所への申述は不要です。他の相続人に対して放棄の意思表示をするだけで、遺言者の死亡時にさかのぼって効力が生じます。

その後の流れ

  • 受遺者による放棄対象財産は遺産全体(共同相続人の共有)に復帰します。
  • 遺産分割協議の実施相続人全員で改めて協議を行い、具体的な配分を決定します。
  • 新たな分割の実行この手順を踏むことで、民法上・税法上も適正な処理となります。

留意事項:遺言執行者の有無による差異

遺言執行者の指定手続き上の注意点
指定されていない場合相続人全員の合意のみで可能です。遺産分割協議書を作成し、署名押印を行うことで成立します。
指定されている場合遺言執行者の同意が必須となります。相続人は遺言の執行を妨げる行為ができないため、執行者を無視した分割協議は無効となるリスクがあります。
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