お客様の相談事例
障がいを持つ子がいる場合の相続手続き
ご相談内容
父が亡くなり、相続人は母、長男(30代)、二男(20代・特別障害者)の3名。
二男は幼少期に自閉症と診断されて、精神上の障がいの程度は重度で、日用品の買い物もひとりでは難しい状態でした。
父の遺言書はなく、遺産は約1億2千万円。(うち、金融資産が1億円)
母は、お葬式費用と生活費の捻出のため、銀行へ解約手続きに行きましたが、窓口の方から相続人全員の署名と実印、印鑑証明書が必要と言われ、今のままでは銀行の解約や各種名義変更ができないとお困りで、銀行を通して当事務所へご相談にお越しになられました。
対応方法・結果
ご来社した際に一連のお話しを伺い、まずは二男の「後見開始の審判」を家庭裁判所へ申し立てるようアドバイスしました。
後見人は母が務めることとなり、家庭裁判所の推薦で後見監督人は司法書士の方が選任されました。
その後、遺産分割協議が成立。(二男の法定代理人は後見監督人の司法書士が署名捺印。後見人の母とは利益相反となるため。)
銀行の解約など遺産の名義変更等が円滑に行われ、相続税の申告も期限内に進めることができました。
また納税については、母は配偶者控除を適用し無税となり、二男も障害者控除を適用し無税、さらに控除しきれない障害者控除分を長男にも適用し、全員が無税で終えることができました。
申告後、母に対して、今後も煩雑な手続きが起こらないよう万が一に備えて、遺言を遺していただくようアドバイスし、公証役場にて公正証書遺言を作成。
また、二男の今後の生活も案じて、『特定贈与信託(※)』をご提案しました。
(※ 特定贈与信託とは、障がいを持つ方のご家族などが信託銀行等に金銭等を信託し、一生涯にわたり生活費や医療費などを定期的にお渡しする信託です。この信託を活用すれば、障がいの程度に応じて3,000万円または6,000万円までを限度に贈与税が非課税となります。)
二男の信託口座を開設し、母から二男へ生前贈与(母が相続で引き継いだ遺産の一部)を行いました。これによって、二男の生活原資の確保はもちろんのこと、母の財産を下の世代へ移転したことによって、二次相続税対策としても有効となりました。